チャドで働く国連機関契約職員の日記

チャドの田舎で国連機関の期間契約職員として働くことになった日本人の日記です。ブログでの記述は個人の見解であって、所属組織を代表するものではありません

チャドは子だくさん、と言えるか

首都のンジャメナで移動をサポートしてくれるドライバーさんと、フランス語の練習がてらいろいろな話をする。その中の一つが、家族構成。微妙にプライベートな質問なので、まだそれほど多くのサンプル数が集められているわけではないけれど、5人とか7人とかは普通で、二ケタという家庭もある。しかもそれが、旦那の年齢が30過ぎくらいだから、まだ増えそう。

それだけの子供を産み育てるなんて、奥様大変だ、、、と最初はびっくりしたのだけれど、もしや、、、と考えて、「奥様は何人?」と聞くと、やはり複数だった。2人とか3人は当たり前。

外務省のデータによると、チャドは、イスラム教信者が52%、キリスト教信者が44%。ということで、結婚制度上は、イスラム教に則り一夫多妻が許される(イスラム教のコーランでは、4人まで妻にすることができることになっている)。

とはいえそれでも、奥様1人あたりで3人、4人以上を産むことは普通だから、やはり、子だくさん、と言っていいと思う。

ところで、イスラム教を国教としている他の国でも、同じような制度があるけれど、実際に2名以上の妻がいるというのは、今のご時世、結構限られる。イスラム教国のモロッコUAEで仕事をしたことがあるけれど、仕事上のパートナーやその家族で、複数の妻がいる夫はいなかった。(パートナーの、おじいさんくらいになると話は別)。

なぜなら、妻を複数めとることは制度上許されるけれど、同時に、それらの妻や子供を養う責任が、夫には発生するから。したがって、国の経済が成長して都会化が進むと、一夫多妻制の国でも、妻を複数めとるのは所得が高い人に限られるという傾向が出てくる。逆に、夫の所得に対して、妻・子供にかかるコストが小さい地域だと、一夫多妻制は現実化しやすいと言っていいと思う。

したがってチャドで、国際機関のドライバーが複数の妻を抱えて大所帯を構えることができるのは、(1)チャドという国の中において、国連機関のドライバーという仕事は高所得者層になることができるものであり、(2)国全体でみれば平均所得が低くて、ドライバーの所得水準に比して、妻・子供を養うコストが相当低い、の組み合わせがあるからだろうと思う。