チャドで働く国連機関契約職員の日記

チャドの田舎で国連機関の期間契約職員として働くことになった日本人の日記です。ブログでの記述は個人の見解であって、所属組織を代表するものではありません

国連の現場における仕組みづくりの必要性と困難について

田舎での勤務も2週間が経過。自分の状況のキャッチアップが早いのか遅いのかは全くわからないけれど、日々仕事をしていれば、状況が少しずつ見えてくる。自分が把握すべきことのうちの何パーセントが見えているのかは相変わらずわからない。ドラクエでも、今レベル10だからって言って、それで全体の進捗の何パーセントくらいまで来ているかはわからないのと同じ(ただ、攻略本があるとそれがわかるんだけれども)。

 

とはいえ、少なくとも見聞きしたことをベースとして、少なくともその範囲内では、何をどうしないといけないのかが分かってくる(気がする)。そうすると今度は、そのやるべきこと、あるべき姿を実現するために、日々求められるオペレーションとは別に、今の状況でできていないことを整理しないと、という気になってくる。

 

もう少し具体的に書いてみる。

 

僕の仕事は、ざっくり言えば難民の問題解決をすること。難民をお客さんとして見立てた、カスタマーサポートセンターを運営しているようなもの(だと思う)。カスタマーサポートセンターの運営者としては、顧客から上がってきた問題や、会社が見つけた問題をデータベースとして集約して、日々、それを追跡していくのが基本的な仕事になる。シンプルそうに見える。

 

ただ今は、少なくとも僕の知る限りでは、そういうデータベースはない。各担当者やパートナーとして動いている組織が、自分の所掌内の問題を、ある時にはリスト化し、ある時には担当者の頭の中で、追跡している。それでも、問題単体で見てみると、その問題に関係する担当者の間では、非効率ながらも情報は共有されているから、問題としては解決していく。

 

しかし問題は、その担当者が休みに入ったり、単純に忘れたりすると、それを誰もフォローできない。あとは、ある課題について、他の組織から「あれどうなってる?」と聞かれると答えられないし、実はその課題を共有しないといけない組織に共有できてないときに、共有できない。特に僕のポジションは、そうした担当者のオペレーションを管理すると当時に、他の組織に必要に応じて(←これが難しい)共有していくことだから、今、難民から上がってきた問題の包括的にみて、その状況を(ある程度は)もれなく追跡する仕組みが欲しい。

 

あとは、各担当者が自身で基本的には単独でアクションを決めていくから、翌週どころか、明日どこで何をするかも読めない。一方で、チームとしてやるべき活動もあるから、そうした活動を組もうとするときに大変困る。

 

まあごちゃごちゃ言わなくても、カスタマーサポートセンターとして、顧客から上がってきた要望・クレームを管理するリストが必要なのは、民間企業なら当然わかることだと思う。ありえない状況である。でも、国連機関でずっと働いていてこれが当然の状況だと、それをあり得ない状況であるということを理解してもらうのは非常に大変であり、とりあえずやってみて、使ってみて、実感をしてもらうしかない。

 

そこで、先週から、そのためのかっこよく言えばデータベース、ありていに言えばエクセル表構築に取り組んでいる。でも、今はいろんな担当者、組織が、個別に抱えているし、特に問題に固有のIDが振られているわけではないので、いろんな情報をヒアリングして、それはこの件と同じで現状はこう、それはこの件とは別で、だれだれが動いている、みたいなことを一つ一つ把握していく。

 

やることは単純だけれど、いかんせん、時間が足りない。こうしたことをしていくには、関係者に一度まとまった時間をとってもらって、今抱えている案件や作業を棚卸してもらわないといけないのだけれど、そもそも人員がひっ迫しているので、時間を割いてもらうことができない。例えば先週であれば、部下は1週間終日ほぼ難民キャンプにいて日中は打ち合わせなんてできないし、僕は僕で、内部・外部とのミーティング(予定されているものもあれば、突発的にいきなり呼ばれるものもある)や、そのミーティングで出てきた宿題をこなすために、日中はほぼ動きが取れない。なので、先週の中でやっとまともに話ができたのは金曜日の朝9時だったけれど、9時半に同じ職場の別チームからの要請で、急遽、外部とのミーティングに出ないといけないことになり、その後も、ほかの予定されていたミーティングが入っていたから、ろくに話ができずに終了。

 

エクセルを作ったから、各自それに入力して送り返してね、なんてことを言っても、基本的には放置される。それは、単に怠けてるとかなめられているということ(だけ)ではなく、単純に、日々やることに彼らも終われているからであって、かつ、そういう仕組みがなくても表面上はどうにか回っているという現実があるので、しょうがない。

 

事程左様に、仕組みづくりをしないといけないのに、それができてないことで、僕がやるべきことをきちんとできていないということが、ものすごくたくさんある。仕組みづくりのための時間が取れず、そうこうしている間に、さらに多くの解決すべき案件が出てきて、常に、僕の知らないところで、数多くの案件が動き、どこかでそれを把握できていないしっぺ返しがきて、打ち手が後手後手になるので、余計に時間がとられる。

 

ということで、週末や夜の時間も使って、仕組みづくりをしている。そもそもこうした仕組みが存在しないということは、これまでの歴代の前任は、管理の仕組みを作ることなく、ジャグリングのような形でハンドルさばきをしていたのだけれど、どう考えても非効率。なので、僕の代で、これはどうにか片づけたい。仕組みができれば、僕が楽になる(はず)と信じて。。。